祖母について

2021年12月12日 22時43分

 

祖母が亡くなった。享年92歳。

亡くなったとき、運よく立ち会えた。苦しむことなく旅立てたようだった。

 

僕にとっては生きていた最後の祖父母だった。

 

祖母にはもう3年ぐらい会えていなかった。

老人ホームに入っており、毎年祖母の誕生日の1月2日に家族みんなで会いに行くというのが毎年の恒例行事で、結婚した年に行ったっきり会えていなかった。

 

帰ってきてから家族の大切さを改めて知ったわけだが、今回は本当に帰ってきてよかったと思った。会うことなく、葬式にも出れずとなるところだったわけだから。

葬式はいろいろな都合で来週行われることになっている。

 

                                                                  

祖母とは高校生の時に一緒に暮らしていた。

食卓の僕の席の前が祖母の席だった。部活があったりで一緒に食事をする機会は少なかったのだけれども。

 

もう少し、おばあちゃん孝行しておけばよかったなと、今になって思う。

一緒に住んでいた当時から、祖母はボケが少し進んでいて結構生活が大変な時期でもあった。僕が高校を卒業するころに施設に入ることになるのだが、その間結構母と祖母の間に確執のようなものがあったようである。

 

父は人の心がよくわかっていない人だし、自分の母ということもあってなのかあまり関与しなかった。兄二人はもう自立していたし、家にいることが少なかったから話し相手になれなかった。なので母も色々なストレスが溜まっていたのだろう。僕に祖母の愚痴のようなことをよく話していた。

その話を聞いているうちに、正直に言うと当時祖母のことが鬱陶しいと思ってしまっていた。顔を合わすことがあっても、会話も適当に受け流すような、そんな態度をとってしまっていた。

 

小さい頃は祖父と一緒にいろんなところへ連れて行ってもらった記憶もある。たくさんいる孫の下から2番目だったので、結構かわいがってもらったとも思う。

 

その恩をしっかり理解することなく、伝えて返すことなく、祖母は亡くなってしまった。

それをとても後悔している。

 

伝えられる、できる感謝と恩返しは、その相手が生きている間に伝えなければいけないと強く感じた。

 

 

一方で、自分が薄情な人間だなと思ってしまう部分もある。

不思議と祖母が亡くなったのを目の当たりにしても、それほど悲しい気持ちにもならず涙も出なかった。

しばらく会えていなかったし、ある程度覚悟はあったというのもあるのだろう。

でもなんか人の死を目の前にしてもあまり悲しい気持ちにならない自分が、とても人の心がないよう感じてしまう。

家族もそれほど暗い雰囲気でもなく、もう今日には今まで通りの雰囲気の戻りつつある。

父も淡々と手続きを進めている。よくできるなと思う。本当に人の心がないのか、覚悟があったからか、長男だからとしっかりしているからか。これが大人になるということなのか。よくわからないけれど。

 

僕は基本的には時間が有り余っている人間なのだが、今週に限っては友人たちと飲みに行く予定が詰まっていたので、正直その予定がどうなるだろうということを考えてしまった。

結果、葬儀は来週になったので概ね予定通りで大丈夫だったのだが、1件今一番会いたい人と会う予定の日の前日に亡くなったので、その予定が飛んでしまった。

 

それに関してはおばあちゃんもうちょっと頑張ってくれたらよかったのになんて思ってしまった。ごめんね。

また葬儀の時になったら気持ちも変わるのかなと思う。

 

 

そんなことをここ数日考えていて、なんか申し訳ないような気分で過ごしていたけれど、

僕を助けてくれた先輩や、学校の恩師や、こないだあった人が口をそろえて同じことを言っていたことを思い出した。

 

「親や、助けてくれた人への一番の恩返しは、元気になって働いて、今まで通りの生活ができるようになることだよ」

 

あまり過去に囚われて、ああしておけばよかったとか、亡くなったのに楽しんだりして申し訳ないとか考えてもしょうがないと思った。

僕がやるべき恩返しは元気でいること、前に進むこと、今まで通りの生活を取り戻すことだと思った。

 

今日、祖母にその旨を報告して、僕は一日も早く元気に今まで通り働き健やかに生活できるようにしていこうと思う。

そして本当に誰がいつ死ぬかわからないから、伝えたいことは多少恥ずかしかったり、ダサかったり、嫌がられたとしても伝えられるうちに伝えようと思う。

 

そんなわけで早速今日は前の会社の同期が久しぶりに全員集まれるので飲みに行く。

週末には大学の同期の忘年会があるのでしっかり参加させてもらう。

 

キャンセルになってしまった、今一番会いたい人をもう一度誘ってみる。

 

都合いいかもしれないけど、それで僕は元気になるので僕なりの恩返しと思って、これからしっかり生きていこうと思う。