ハヌマーン『幸福のしっぽ』について

たぶん人生でこの曲より刺さる曲は現れないだろうなという曲がある。

それがハヌマーンの『幸福のしっぽ』という曲。

 

ハヌマーンはもう解散してしまっているバンド。ボーカルが別のバンドで今はバズマザーズというバンドをやっていて、そちらも好きだけど僕はハヌマーン時代の曲が特に好きだ。

ハヌマーンはよく話題にも出てくる僕に音楽を教えてくれた大学の友人Hが大好きで、その影響で聞くようになった。当時入っていた軽音サークルの同期の会長がハヌマーンコピーバンドを組んていて、大学生活最後のライブでこの『幸福のしっぽ』を演奏したときに、あまりのすばらしさに言葉を失ったのをよく覚えている。

 

とにかく一度聞いてほしい。

 

youtu.be

8分という長い曲だけど、それを感じさせないほど、人生どん底の自分に、あまりにも刺さりすぎる。

すべての歌詞というか、言葉がすべてグッとくる。コンディションによっては聴くだけで涙が出そうだ。

うまく表現できない自分の語彙力の無さが悔しいほどにとても良い曲。

 

以下歌詞

 

また転んだ

日々が行く

なんで僕だけと呟く

運命って言葉が浮かぶ

手も足も出せずに笑う

いつも

 

伝えられないことばかりが

性懲りもなく溢れ出す

駄作は全部置いてくから

死にたくなったら歌えよ

 

地下鉄の窓越しに

いつかのあの娘に似た人

愛していたような

不安の捌け口にしていたような

 

それでもまだ人間でいたくて

明日もまた同じ場所へ同じ手段で行く

それでもまだ人間でいたくて

彼らの理不尽さも品性の無さも受け入れてかなきゃ

 

晴れでもない代わりに雨でもない日の昼間に

喜びもない代わりに悲しみもない日の昼間に

ランチを相席した気立ての良いお婆さんに

名前を聞かれ思わず出鱈目な偽名を名乗ってしまった

 

あくまでただの人間であって

ごめんよもう自分でなんていたくもなくなったよ

さよならもう夢でさえ会えないあなた

伝えられなかったまま行間の中で腐敗する愛

 

ようやく掴んだ幸福のしっぽ

もう離すもんか幸福のしっぽ

お前が逃げるせいで散々な目にあった

思えばお前のせいで信用なくした

近づいていたつもりが

高速ですれ違っていただけ

 

それでもまだ人間でいたくて

明日もまた同じ場所へ同じ手段で行く

誰もがまだ人間でいたくて

見えないことにした

からくりも種も仕掛けも

 

明日どれだけ面倒でも

部屋の掃除をきちんとするよ

たまった洗濯物も干して

あなたを思って言葉を書くよ

暮らしがどれだけみすぼらしくて

維持するだけで目が回っても

ただ受け容れるだけの掃除機と

回り続ける洗濯機のように

好きな歌など聴けなくても

会いたい人には会えなくても

行きたい場所には行けなくても

黙って全てを受け容れるから

そしたらまだ

人間でいられるんかなぁ?

母さん

 

 

 

解釈の仕方は、聴くとき、状況、人によって全然変わってくると思う。

正直自分の解釈も、聴くたびに変わる。得られるものも違うので、言葉にすることができない。とにかく胸を打つ。吐きたくなるような、安らかに眠れるような、元気が出るような、そんな感情になる。

この世のすべての人がいい曲だと思うわけではないと思う。

色々苦しんだ経験があったり、能力がなかったりして劣等感が強い人間であったり、そういうことを考えすぎてしまう自意識過剰な人間にはとても刺さるんじゃないかなと思っている。

 

共感してもらえなくてもいいので、この曲の良さを自分なりの解釈をもって理解できる人ともし今後出会えるなら、深い付き合いができそうだしそういう人と長く付き合っていきたいと思う。

 

今日も明日も、どれだけ面倒でも部屋の掃除をきちんとして、当たり前のやらなければならないことをしっかりやって、思い通りにいかないことがたくさんあったとしても黙ってそれを受け入れて、そうすれば、僕も人間でいられるのかな。

 

そんなこと思いながら、昨日より今日は少しだけ頑張ろうと思う。

明日は今日より少しだけ頑張ろう。

 

一生聴き続けたい名曲です。