バッキバキに”かかって”しまった話
野球のバッティングでは、構えているときはリラックスして、インパクトの瞬間だけ力を入れると強い打球が打てる。
これは日常生活でも言えることだと思う。
先日、準備段階から力入りまくって、バッキバキに”かかって”しまい情けない結果になったので気持ちの整理もかねて書き残す。
先日、大学の時の1つ上の先輩の女性と2人で飲みに行った。
以前10月ごろに1回友人含めて3人であったが、それ以来何度も誘っては都合がなかなか合わず会えていなかった方。
大学の時からの憧れの先輩で、久々に会って話して、離婚したばかりの情緒不安定期だったこともあってか、正直めちゃめちゃ好きになってしまった方。
会うことになった経緯は、水曜日に「今週末金・土・日のどこか空いてたら飲みませんか」と送ったらしばらく返信がなく、諦めかけていたところ土曜日の夜23時頃に「明日ならいいよ」という返信が来て急遽会うことになったという感じ。
突然のことでテンション急上昇。焦りと喜び。とんでもないチャンスが巡ってきたと
結果から言うと、僕はその会った日朝から寝るまで、気合が入りすぎて完全に”かかって”いて、ゴリゴリの大スベリをかました。
まずその日は、一応翌日に面接が控えていたので午前中に面接の準備をして、僕は午後からフリー。
約束の時間は18時だったので6時間ほど時間がある。
とりあえず待ち合わせの駅に行き、周辺を散策。急遽決まったので店も特に決めてなかったからよさそうな店を探す。
この店探しも結果的には大失敗。
僕は結婚生活の3年間で店探しスキルとして「安くてうまい大衆酒場」探しの嗅覚だけが鍛えられていて、デートで使えるようなちょうどいい店を探す能力は著しく低いのをじかくしていなかったから。
そして探しながら、どんなことを話そうか、どんなことを聞こうかとめちゃめちゃ考える。
そしてまあこの辺かなという店を見つけて目星をつけ、近くのドドールに移動。
一人作戦会議を始める。
この辺から、僕は目がバッキバキになって完全に”キマッてる”状態になっていく。
インスタを見ると、彼女の同級生が「昨日結婚式だった」という写真を載せていて、その彼女が映っていた。
その後の僕の脳内作戦会議はこんな感じだ。
「あ、しばらく返信がなかったのは結婚式だったからなんだな。」
「あったらまず『結婚式いってたんですね、そんなタイミングに誘ってすみません!インスタで見てめちゃめちゃ綺麗な人いるなーと思ったら●●さんでした!』みたいな感じで入るか」
「たぶん、僕の性格上、好意を抑えることは無理だな。もう最初から『会いたかったです!!』ぐらいのバリバリテンションで行こう」
「大学の学園祭のファッションショーに出たあの人が綺麗すぎて、その時から好きなんだよな~。『あの時マジできれいだった』ぐらいは言おう」
「前会ったときは彼氏いないって言ってたけど、もしかしたらもう彼氏できた可能性もなくはないな。そしたらもう好きだってことも全部ぶちまけてしまおう」
「あ、このフレーズいいかも。言ったら絶対ウケるぞー!」
「これだけなかなか会えなかったから、次いつ会えるかわからない。今日、絶対何か結果を残さなければ」
…
冷静に、こんなやつ怖すぎるのだ。
正直これ以上のことを勝手にシミュレーションしている。
考えながら、BGMにはプロレスラーの入場曲を流している。試合前の気合の入れ方かよ。
時間が近づくにつれて緊張が高まる。めちゃめちゃ口が乾くし、タバコもいつも1日1箱ぐらいなのに、2時間で1箱吸っていた。
ここまででお判りいただけるように、完全に「かかって」いる状態のまま、僕は待ち合わせに向かう。
待ち合わせ時間の30分前についてしまう。
2回トイレに行く。
持ってた水も飲みほしてしまったのでもう1本購入。
脳内作戦会議の内容を振り返る。
18時。
改札を通ってきた彼女が見えた。
(来た!よし、作戦会議の内容では、「お疲れ様で―す!!いやー会いたかったです!!」のテンションでだぞ!!)
手を振り近づいてくる彼女。
そして僕の一言目。
「…お疲れ様っす」
ここから僕は記憶はあるけれど、意識は正直ない。
スタートミスった僕は全然作戦通りじゃないことに焦りおどおどする。
待ち合わせ場所からの移動も彼女に主導権を握られそうになったので、かなり強引に決めていた店へ行くことにする。
そこは僕のクソみたいな嗅覚で見つけた「安くてうまい大衆酒場」。
入店するも奥の席が空いていないからと入口の割と寒い席。
テンパる僕。
やや戸惑い気味の彼女。
全然予定通りじゃないので焦る一方、朝からバッキバキにかかっているので、話の流れも完全に無視する勢いでとにかく質問したり準備していた好意丸出しフレーズを叩き込む。
しかしあまりの焦りと緊張で頭真っ白になって聞きたいと思っていたことがほぼ全部飛ぶ。
そしてどうしようもなくなった僕はそのまま「色々聞きたいことあったのに緊張して全部飛んだー!!」という。
おそらくゴリゴリにスベっていたけれど、もう視野がめちゃめちゃ狭くなっているので気づかない僕。
緊張のため口が乾きまくり、普段飲む量の3倍の量のハイボールを飲む僕。
隣の席で店員と客がもめて追い出されるというハプニングが起こってたが、それに気が付かないぐらいに視野が狭くなる僕。
気が付くと3時間半ぐらいたっていた。
お会計をして出る。ちなみにさすがは安くてうまい店。僕がガンガン飲んだのに7000
円。そしてなぜか2000円彼女に出してもらってしまった。
いつもでは信じられないペースで飲んでしまった僕。
外出てめちゃ酔っていることに気づく。
ぜんぜん思い通りにいかなかった後悔が押し寄せる。
「これでは全然結果が残せていない!まずい!!!!」と思った僕。
気がついたら、こんなことを口走っていた。
「あーもう、●●さん、僕今日いうつもりなかったんですけどね!僕ね、●●さんのことめっちゃ好きなんすよ!!」
「でも付き合ってほしいとかではなくて!いや、付き合ってほしいにはほしいんですけど!」
自分でもびっくりな告白。
もう彼女がどういう反応してたかはわからない。見れてないし声も僕には認識できなかった。
改札を通る。
「とりあえず、就職決まったら就職祝いでまた会ってください!」という僕。
背中をパンパンッと2回たたかれてさようならした。
帰りの電車。全然思い通りにいかなかったこと、想定外の告白をしてしまったことの後悔が押し寄せる。ちなみにがっちり酒に酔っている。
そして帰宅。酔いは割とさめた気になって、様々な後悔と反省をする。
ちなみに、まだこの時僕は自分が気合が空回りしていることに気づいていないし、まだ”かかって”いる。
そして冷静になった気分になってこんなラインを送ってしまう。
「今日はありがとうございました!無事帰れましたか?」
「帰って酔いがさめて、勢いでとんでもないことを言って猛省してます…。でも冗談じゃなくて好きなのはかなり本気です。もしよかったらまた会ってくれると嬉しいです!」
それ以降、本日に至るまで既読無視状態である。
中学生みたいな恋愛の仕方で、とんでもない空回りをしたことに気づいたのは翌日の朝である。
気合を入れすぎた結果、逆に恐らく良くない印象を与えて彼女を困らせてしまい、めちゃめちゃダサくてなんの結果も残せないという(そもそも残す必要もなかったのだが)最悪の結果となった。
彼女も、バッキバキにキマッる僕のこと怖いしめんどくさかったろうなと思うと、3時間も一緒にいてくれてありがたいし申し訳ない気持ちになるわけです。
そしてバッティングと同じで、気合を入れすぎたり準備に力を入れすぎると、ここぞというところで力を発揮できないということ、ある程度リラックスした状態でいた方がよいということの重要性を痛感したわけです。
その他にも自分のやばい一面がかなり現れてしまったと本当に反省している。
この出来事に関連して、色々と思うことがあるのでそのうちまた書こうと思います。
とにかくこの話をブログに書くことで、供養させていただきます。
合掌。