四星球 『交換日記倶楽部 feat.高橋久美子』について
四星球の『交換日記倶楽部 feat.高橋久美子』がとても素晴らしいので内容について感じたことをまとめたいと思って記事する。
この曲は四星球の7thアルバム「SWEAT 17 BLUES」に収録されている。
このアルバム自体が笑えて楽しく心打たれるので最高のアルバム。
四星球は個人的に大好きで、自分の目指したいものをすべて表しているようなバンドなので、後日改めてまとめて書いてみたい。
この曲は、曲というより四星球のボーカル北島康夫と、元チャットモンチーのドラムで現作家の高橋久美子さんの朗読?というか交換日記の語りあいなのだが、この歌詞というか日記の内容がとても文学的で、グッとくるものがあるのでぜひ紹介したい。
そのまま読んでも理解できない内容もあるので、自分なりに解釈しながら書いてみたい。
以下歌詞を区切りつつ、自分なりの解釈を書いていく。
11/18
底辺×高さを2で割れないから
私 永遠に四角形
私のことなんて私だけで十分
あなたのことなんてあなただけで十分
二等辺三角形に憧れたけど
今はもう 四角形でいく他ないの
枯れたれんげの指輪つけて
走れるにきまってる
今までで一番速く
だって私中学生だから
奇しくも、この記事を書いている日が11/18なので運命を感じてしまった。
最初の日記は高橋さんが、その次が康夫が読んでいる。以降は交互に。
全体を通して聴いてみると11/18~12/5までの日記は中学生時代、そのあとは卒業後もしくは大人になってから書いたものと思っていたが、ちょっと視点を変えて聴いてみるとまた違った風景が見えてくる。
年が出てくるのは最後の日記だけだが、僕はこれは全部大人になってからの日記なのではないかと思った。
まず初めに、11/18の内容だが、正直最初聴いたときは何を言っているのかよくわからなかった。でも大人になってから書いたものという視点で見てみると変わって見える
「底辺×高さを2で割れないから私 永遠に四角形
私のことなんて私だけで十分
あなたのことなんてあなただけで十分
二等辺三角形に憧れたけど
今はもう 四角形でいく他ないの」
しびれる文章。底辺x高さを2で割れないから私永遠に四角形は後の文から考えて、
自分の人生を人と分けていくこと、だれかと折り合いをつけて分かち合っていくことが私はできないから、私は私のままで行くしかない。という意味だと解釈した。
枯れたれんげの指輪つけて
走れるにきまってる
今までで一番速く
だって私中学生だから
レンゲソウは春の花でこの日記は11月。れんげは、泥沼の中でもきれいに咲くことから仏教的には仏を意味したり、清らかで美しいという意味を象徴したりするらしい。
枯れたれんげの指輪は、つまり中学生のようなきれいな青春時代の思い出ということを意味するのではないかなと思う。
つまり、昔のきれいな青春時代の思い出を身に着けて、今だって一番早く人生を走れる。だって私は“まだ心は”中学生だから。ということになるのかなと思った
11/19
円になって輪になってその真ん中で
人気者になりたくて誰よりもうるさく
一回でいいのに必死にしつこく
半径×半径×って2回言う僕
そのくせ3.14はかけない
丸くなるようなタマじゃねえからな
今週のジャンプで覚えたタマじゃねえって言い方早速拝借
誰よりも一番早く
だって僕中学生だから
康夫のパート。これはもしかしたら大人になってからではなく、中学生時代のものなのかなとも思った。「そのくせ3.14はかけない」というフレーズが個人的にとてもよい。
半径×半径だけだと、四角形である。つまり11/18と同じニュアンスでいうと角が立ってとがって、自分は自分として生きていく。そんなニュアンスに感じた。中学生らしい内容だ。
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11/22
手つかずの欲望に
夜露一滴こぼしてみたい
私どこまでも飛べる
名前入りの体操服で
大人はこういうの青春ていう
不自由の中の自由を。
自由の中の不自由は
羽をなくした鳥なんだってさ。
私いつまで中学生だろう
この内容も解釈が難しい。「手つかずの欲望に夜露一滴こぼしてみたい」が感受性がないからなのか理解が難しい。
「名前入りの体操服」が中学生を意味していることは分かる。
大人になってから書いた文として読んでみると、年齢的には大人になったけど、心は中学生のまま、青春を謳歌できる。不自由の中の自由にいるのだから。
と解釈した。
12/5
羽ばたきか まばたきか
風がめくる中学生なのに大学ノート
ページは変わるが飛んではいけない
どんどん雑になる文字よりも
やたら綺麗な1ページ目の方が恥ずかしい
自由の中の不自由、の中の自由、の中の…
えっ!?中野の体操服盗まれたって!?
知らないよ 飛んでいったんじゃない!?
僕らいつまで中学生だろう
後に出てくるが、ノートは人生の象徴だと思った。
だから、「ページは変わるが飛んではいけない」
飛んではいけないは、不自由を意味すること。
やたら綺麗な1ページ目の方が恥ずかしい 青春の人生の1ページ目くらいのことがキラキラしていて、夢のようなことを言っていたころが少し恥ずかしい。一方今はどんどん雑になっていく。余計恥ずかしく感じる。そんなことだろう。
中野の体操服は、鳥になったのだろう。自由の中の不自由から抜け出したんだろう。
4/23
「君たちは人生のまだ3ページ目くらいなんだ」って
卒業式でおじさんが言ってたっけな
確かにそれは本当だった
ノートの残りはもう穴埋め問題じゃない
真っ白すぎて汚すのが怖いよ
どんどん綺麗になっていく思い出
どんどん雑になっていく今日
こないだ中野が子どもの体操服買ってたよ
私達いつのまに……
「ノートの残りはもう穴埋め問題じゃない 真っ白すぎて汚すのが怖いよ」ここからの表現がすごく好き。もう卒業して大人になってからの話なんだなというのがここからわかる。
大人になると穴埋め問題のように答えがわかるようなことではなく、人生の4ページ目以降は自分で考えて自分で決めて書いていかなければならない。だから「汚すのが怖いよ」になる。
「どんどん綺麗になっていく思い出 どんどん雑になっていく今日」
このフレーズも好きだ。青春の日々はどんどんきれいに見えてくる。それに比べて今日はどんどん雑になっていく。まさに今の自分と重なって、グッと来た。中野は子供の体操服を買う。中野は気が付けば大人になっている。年齢ばかり自分たちは大人になってる。いつのまにか。
5/12
人生の3ページ目が青春の1ページか
「青春の1ページ」ではなく「青春は1ページ」の間違いかも
めくることに臆病で1枚の中に僕らびっしりだった
寄せ書きのように 野球部の弁当箱の中のように
中野の子どものお弁当箱には
きっときれいな三角形のおにぎり
みんな底辺×高さの割り方を覚え
上手に握れるようになっていくんだね
僕たち何年生だろう
康夫パート。
「青春の1ページ」ではなく「青春は1ページ」の間違いかも めくることに臆病で1枚の中に僕らびっしりだった というフレーズ。ここも好きだ。
青春の1ページから次のページへ行くことを恐れて、その中にずっといようとする。ノートを埋めるようにびっしりと。
中野のお弁当の三角形のおにぎり。これは周りとうまく折り合いをつけて四角形じゃなく、大人になれている中野を象徴している。「僕たち何年生だろう」僕たちは大人になれているのだろうか。という意味なんだろうと解釈した。
君は今も人気者で
3.14わざと掛けずにいるんでしょう?
私はまだ4ページ目あたりをうろうろしてる
4ページ目あたりをうろうろしているということ、大人になり切れていなということなんだろう
枯れたレンゲの指輪はまだ持ってる?
失くしても大丈夫、ほらまたレンゲの季節
過ぎ去ったきれいな青春の思い出はまだ持っているかい?もしなくしてしまっても大丈夫。また春が来て、きれいな青春の思い出を今からでも作れる。
という意味だと思った。
君は今もジャンプ読んでる?
私はまだ私の続きを書いている
君はまだ中学生の心を忘れていない?私はあのころからの続きにいるよということ。
“1学期”も“2学期”もなくもうずっと
胸の“打楽器”鳴り響かせて春休みを生きている
そんなオヤジギャグ言うようになったけど中学生
春休み 新学期・卒業から新生活(大人になること)の間の時間を今も心を鳴らして生きている。まだまだ中学生だ。ということだろう。
2
018.12.20(木)
私は中学23年生
だけど
今日の
1年生
卒業できないことをここに証します
以下、同文です
ここが最高だと思った。中学23年生というフレーズがすごく好き。
まだ中学生の気持ちを持ったまま、でも今日という日の1年生として新しい青春のスタートを今からでも切れる。青春時代はこれからもずっと続けていくことができる。
「卒業できないことをここに証します」ということだ。
中学23年生は36歳。世間では大人になっている。青春時代はキラキラしてもう終わったものと見える。でも今でも本当は中学生の心をもって、青春を続けていきたいと思っている。いつまでも中学生の心で生き続けたい。そんな思いを感じた。
僕も29歳。世間的に見たらアラサーで大人といわれる歳になってきているのだろう。
でも正直大人になった気がしないし、底辺×高さを2で割れないこともよくある。
憧れの女性と会ってその人と話すだけでうれしくなって調子に乗ってしまうし、楽しいことに夢中になって時間を忘れてしまうし、中学生のころから何も変わっていない。
大人になっているようで、まだまだ中学生。青春は終わったものではない。今日の1年生としてまだまだ楽しんでいける。
そんなことを思った。
深く聴けば聴くほど、元気がでる。
素敵な1曲。
僕は中学17年生として、これからの青春時代を謳歌しようと思います。